Fibrolamellar hepatocellular carcinoma(FLHCC)

更新日:2013年10月24日
掲載日:2013年10月24日
1.疫学  2.肉眼所見  3.組織学的定義  4.予後  5.問題点

1. 疫学

米国では、全肝細胞癌のうち、FLHCCは0.9%と報告されており、欧米の白人に多く、アジア、アフリカでは極めて稀とされる。20-30代を中心とする若年者に発症し、性差はなく、正常肝に発症し、AFPの上昇はほとんど認めない。
我が国の全国原発性肝癌追跡調査報告によると、第16回(2000-2001年)では全肝細胞癌のわずか0.09%であったものが第17回(2002-2003年)では0.68%となり、単純計算上は8倍ほどに増加していたが、第18回(2004-2005年)では、0.01%に激減している。


2. 肉眼所見

新鮮切除標本では固い腫瘍として触知される。腫瘍割面は典型的な肝細胞癌のような隆起を伴わず、辺縁は凹凸不整のいわゆる“八頭状”を示す(写真2)。のちに示す、硬化型肝細胞癌と類似している。


3. 組織学的定義

障害のない正常肝組織に発生し、非常に目立つ核小体を有する類円形腫大核と豊富な好酸性胞体からなる異型肝細胞が、層状の線維索を介在させて増殖する像を示し、しばしば淡明な封入体(pale body)を認める(VS1VS2)。免疫組織学的特徴として、通常肝臓においては胆管上皮細胞由来の腫瘍に陽性所見が得られるCytokeratin7(CK7)が、肝細胞癌であるFLHCCにも陽性を示すことである。


4.予後

予後は一般的に通常型肝細胞癌と比較して著しく良好とされ、進行も遅いと報告されている。外科切除症例の5年生存率は76%との報告がある。予後規定因子として年齢、肝障害の有無、切離面への浸潤、脈管浸襲、リンパ節転移が報告されている。


5. 問題点

1. ウイルス性肝炎患者に発生したFLHCCは真のFLHCCなのか?

一般的に、FLHCCの大部分は若年で正常肝に発生する腫瘍とされる一方で、ウイルス性肝炎に発症した症例に関する報告は散発性に認められ、それらはFLHCCの8-16%を占めるとの報告もある。しかし、その報告症例の組織所見を文献上で見る限りにおいては、組織学的に典型像とは言い難い報告例も認められるのも事実である。FLHCCの組織像ひとつひとつは特徴的ではあるものの、FLHCCに特異的ではないといった事実も加味すると、腫瘍が発生した後に肝炎ウイルスに罹患したオーバーラップ症例の可能性や、類似した組織像として硬化型肝細胞癌の存在もある。障害肝に発生する肝癌と正常肝に発生する肝癌の発癌機構の違いを考えると、若年・非障害肝に発生する肝細胞癌というカテゴリーは非常に特徴的であるため、障害肝と非障害肝という点に注目した検証と整理を行なうことが必要と思われる。


2. FLHCCは本当に予後良好なのか?

FLHCCは予後良好とされている理由として、患者の多くが若年で背景肝が正常肝であることが考えられているが、腫瘍自体の生物学的悪性度は決して低いものではないとも考えられている。実際、他の肝癌と同様に残肝再発、肺転移、後腹膜転移、縦隔転移が認められ、比較的短期間に転移を認め死に至る報告も認められる。リンパ行性転移を思わせるような報告が多いことや、本来肝細胞癌ではあまり染色性が得られず肝内胆管癌に高頻度に発現するCK7が陽性であることから、肝内胆管癌(腺癌)に類似した形質を併せ持つ可能性があるのではないかとも考えられている。

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