Solid-pseudopapillary neoplasm, Pancreas (コンサルテーション症例)

CASE : 0419

診断と解説

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最終診断

【診断意見】
Panceas, distal pancreatectomy
---Solid-pseudopapillary neoplasm

診断と解説

【組織所見と考察】
組織学的に線維性被膜・隔壁様の構造で隔てられた2つの嚢胞様構造があり、その内部には出血および腫瘍細胞の充実性増殖が見られる。腫瘍細胞は嚢胞様構造の壁に当たる部分から膵実質にも進展している。腫瘍は類円形核と弱好酸性〜淡明な胞体を有する腫瘍細胞が血管を中心に集まり、また胞巣状となって増殖する部と線維性間質内に胞巣を形成して増生している部が認められる。膵実質に進展する部では、膵小葉置換性の進展が見られ、腫瘍細胞の先進部と膵実質との間に炎症細胞浸潤を伴わない特徴的な像を呈する(*)。また、その近傍では腫瘍内に取り残された小葉が島状に散見される。腫瘍細胞の細胞学的特徴、組織構築に加えて、周囲膵実質へ置換性に進展する特徴的な像も認められることから、組織学的にSolid-pseudopapillary neoplasmを強く疑う。免疫組織化学の結果、腫瘍細胞にはびまん性にbeta-cateninの核集積像があり、Vimentin (++), CD10 (+), Progesterone receptor (++), Synaptophysin (focal +), CD56 (+), Chromogranin A (+-)である。以上からSolid-puseudopapillary neoplasmと診断する。
*この所見はSolid-puseopapillary neoplasmの特徴的な組織所見の一つで、SPN以外の上皮性膵腫瘍では通常ほとんど見ることのない像です。
未分化癌とは、未分化癌の浸潤様式、高い増殖能、免疫組織化学的に膵管上皮細胞・膵腺房細胞・内分泌細胞形質・beta cateninの発現が通常見られないことで鑑別されます。
(参考) SPNは欧米では若い女性に偏って発生するため教科書にそのような記載が定着していますが、アジアでは男性例の症例報告も多く、当施設では全体の約1/2〜1/3が男性症例です (Virchows Arch 2006;448:561-9) 。
alpha1-antitrypsin, alpha1-antichymotrypsinは、実際には腺房細胞癌に特異的な発現をせず、膵管癌を含めて様々な腫瘍種で発現します。腺房細胞癌の確定診断のためには、trypsin, chymotrypsin, lipase, carboxyl-ester lipase (交差反応によりSanta Cruz Biotechnology社の抗Bcl-10抗体 (331.3) と反応します) 等の膵外分泌酵素の発現を証明する必要があります。

(病理診断コンサルテーション症例)
投稿者: (依頼医)小池直人
(コンサルタント)平岡伸介 国立がん研究センター中央病院
(文責)里見介史/平岡伸介
施設: 国立がん研究センター中央病院
国: Japan
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